カエル動画図鑑


鳴のう(めいのう)


基本情報


オスのカエルとヒキガエルの喉のあたりについている、鳴き声を反響させるための袋のこと。カエルは鳴のうを使って、鳴き声の音量を大きくすることができる。また、鳴のうがあるかないか?によって、カエルのオスとメスの区別をつけることも可能だ。(注:鳴のうをもたないカエルもいる)

鳴のうには、大きく分けると3種類ある。

1、カエルのあごの下にある単一の鳴のう
2、カエルのあごの両脇にある鳴のう
3、カエルのあごの下にある二組の鳴のう。

上記にあげた鳴のうのうちで、ポピュラーなのが1と2である。

次に、カエルが鳴のうを使って鳴き声をあげる際のメカニズムについて解説する。まず、カエルは肺の中に空気を入れて肺をふくらませる。その次に、肺に入れた空気を喉を通過させて鳴のうに送る。その際に、喉は空気によって振動し音が生まれる。その音は鳴のうの中で反響し、大きな音になり、カエルはより遠くへ自分の鳴き声を伝えることができる。ちなみに、カエルが鳴き声をあげているときは、口と鼻は閉じたままである。

なぜカエルは鳴のうを持っているのか?


オスのカエルが鳴のうをもつのには理由がある。このことについて考える際には、なぜオスのカエルは繁殖期に鳴き声をあげるか?について考えるとわかりやすい。その理由は、「鳴き声をあげてメスをひきつけるため」である。

その際に、鳴のうを使って鳴き声を大きくすることで、より広範囲にわたって、より多くのメスをひきつけることができるのだ。鳴のうのないカエルの場合だと、数メートルの範囲内にしか鳴き声は届かない。

一方、鳴のうをもつカエルだと、1キロメートル以上の範囲にまで鳴き声が届くこともある。

(鳴のうをもたないカエルは、渓流のそばに住むことが多いようだ。渓流の水の流れる音があまりにも大きいと、オスのあげた鳴き声は、渓流の水の流れる音によってかき消されてしまう。そのため、鳴のうをもたないカエルは、別の方法を使ってメスをひきつけようとする。)

豆知識


鳴のうは、音を大きくさせるのとは、別の目的にも用いられる。ダーウィンガエル科のカエルのオスは鳴のうを使ってオタマジャクシの世話をするのだ。オスは卵から孵化したばかりのオタマジャクシを口の中に入れる。その後、オタマジャクシは鳴のうの中に入り込む。オスはオタマジャクシを水場まで連れていき水中に放す。ダーウィンハナガエルの場合だと、鳴のうの中に入ったオタマジャクシは変態を終えるまで、鳴のうの中にとどまるようである。



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